元藤沢市議会議員 清水竜太郎 オフィシャルサイト

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教育改革の現状について その2

ベネッセ教育総合研究所などが実施した保護者向けのアンケート調査によりますと「学校は、知識の習得より、思考力など社会で活用できる力を重視すべきだ」とする回答が、5年前より増えて7割に達しています。
また、「子どもの個性に応じて学習内容をもっと選べるようにした方が良い」とした回答も増加して、「義務教育では、共通する内容を教える方が良い」とした回答とほぼ同じ割合になっています。

いま問題となっている所得による教育格差については、許容する回答が6割に増加していて、問題だとする回答は3割に減少しています。一方で、教育の充実には増税も仕方がないとする回答が5割に増加しています。とくに私立高校の授業料や、経済力的に恵まれない家庭の子どもの学習塾費用を税金で負担すべきだとした回答がそれぞれ増加しています。
また部活動については、日数は減らした方がいいとした回答が3割にとどまった半面、教師の多忙化につながっているが7割、外部指導者にもっと委ねるべきだが6割となっています。

藤沢市についても教育費は、一般会計の当初予算のうち1割に満たない額です。そして多忙化している教師の負担を減らさずにこれまでより工夫が求められる授業の準備を行なうのも無理があります。課題をしっかり見据えたうえで、改革を進めなければなりません。

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教育改革の現状について

教育改革の現状についてベネッセ教育総合研究所の小泉和義副所長にお話を伺いました。

この中で小泉副所長は、これまでの知識重視の教育から、思考力や判断力を重んじる教育に変わる必要性を主張しました。そのうえで、学習指導要領の改訂や、大学入試改革によって、国もそうした方向に舵を切りつつあると述べました。

授業では、教師が講義する形式から、グループに分かれて議論する形式が増えるほか、入試では、記述式の質問が増えて、学力を問わない入試はなくなるとしています。こうした自ら課題を見つけ、どうすれば解決できるか考える能力を育てる教育は、人工知能が発達して、将来の職業が激変する社会にも見合うものだと指摘します。いわば、魚そのものを与えるのではなく、魚の釣り方を教えようという考え方です。小泉副所長はまた、自分だけだとなかなか気づけない、ほかの人の考え方を学ぶことも成長につながるとしています。

ただこうした改革に対して、教師の中にはついていけない面もあるので、教師への指導も必要であること、学校だけで対応していくのは限界があるので、民間や地域など外部の力を借りる必要があることを挙げています。

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国際化教育について

藤沢市円行にある多摩大学グローバルスタディーズ学部の安田震一学部長に、国際化教育について伺いました。

自らも海外で研究を重ねてきた安田学部長は、アメリカを例に、公教育を通じて、学力だけでなく、スポーツや文化芸術活動が重んじられ、社会性や感性が育まれていると述べました。その上で、子どもたちが、仕事につながる将来設計をどう描くかが常に意識されていると指摘しました。
さらに教師は授業に特化していて、進路相談も専門化されるなど学校の体制が分業化されていると話しました。

グローバルスタディーズ学部では、台湾で藤沢市の高校と実施した共同研究の成果を発表しているということです。藤沢市の観光などをテーマに事前学習した上で、英語で発表するものです。ユニークなのは、発表した後の観衆の拍手の大きさで評価が決まる点です。
安田学部長は、さらに国際化教育の基本は、身近にいる外国人と接することに尽きると話します。ゴミ拾いをはじめ、さまざな行事に外国人を巻き込むよう努力しています。

現在、ほとんどの労働人口が、サービス業などローカル企業に従事している中、内向き志向が強まっていて危機感を覚えます。しかし、国内でも、観光分野をはじめ、国際化教育の役割は、むしろ広がっていると思っています。

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上藤が谷公園

藤沢市は、鵠沼地区に新しく作る「上藤が谷公園」の在り方について、近隣住民との話し合いを進めています。新しい公園は、、再来年度に整備し、2021年度にオープンする予定です。

これまで二回、住民との話し合いが行われ、公園の使い方などについて様々なアイディアが出されました。その中には、「いろいろな年代の市民が集まれる公園に」「大人もくつろげる公園を」「今ある樹木を活かして」「子どもが思い切り遊べるように」「広いスペースで創造的な遊びができるように」などの意見が出されました。
また安全面について、車の往来を考えて出入り口を決めることや、防犯カメラを設置したらどうかという指摘が出されました。さらにアンケートの結果では、「休憩できる」かつ「自然が残る」公園を希望する声が多くなっています。

わたしは求められている公園像が変わってきたと感じています。これまでのような遊具など、整えられた公園ではなく、自由な発想が許される、整えられていない公園の登場です。
実際、いまの「空き地」状態の敷地では、子どもたちが自由気ままに遊んでいて、いい光景だなと感じます。一定の緑がある”自由な公園”をもっともっと作って、藤沢の売りにしたいと思っています。

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「鵠沼の緑と景観を守る会」と「鵠沼景観まちづくり会」の講演内容

自然と調和した藤沢市の住環境を守り、発展させていくために活動している団体「鵠沼の緑と景観を守る会」と「鵠沼景観まちづくり会」で講演した内容が各会報に記載されましたので、全文を載せます。貴重な機会をいただき、お礼申し上げます。

「藤沢駅南口に大規模な公園広場を」

藤沢の価値とは何か。それは、湘南の海を背景に緑豊かな住宅街が広がっていることではないでしょうか。サラリーマンが、わざわざ満員電車に乗って通勤します。それは藤沢に価値があるからです。こうした価値を高めることが重要です。

わたしの提案は、「藤沢駅南口に大規模な公園広場」を作ることです。駅前こそがまちの顔です。公園広場を作ることは、駅前の再生だけでなく、自然環境を大事にする価値観を象徴するものとなります。

都市部の駅前は、金太郎飴のように同じです。駅ビルがあって、地上は車に独占されています。わたしは、これを変えたいと思っています。幸い、南口には一定の空間が広がっています。これこそ宝です。
最低限の交通の利便性は確保しつつ、いま南側にある緑のある部分を二倍以上に広げます。車道を二車線に縮小し、待機しているタクシーなどは、デパート西側にある通りに移します。市民が公園広場を通過して、東西南北から行き来できるようにします。中央には芝生が広がります。中途半端はダメです。映画祭などイベントも開けます。ニューヨーク市の「ブライアントパーク」や東京の「南池袋公園」が目標です。公園がまちのイメージを一変させた例です。

市議会では、▲屋外広告物や建物の高さを制限すること、▲デザイン性の高い「湘南を感じさせる」駅舎にすること、▲デパートを支援することも提案しました。提案を実行するだけで藤沢の価値は高まります。


「緑地率目標の放棄、その影響と対策」

藤沢市は、土地に対する緑の割合、緑地率の目標を事実上放棄することを明らかにしています。
これまで30%としてきた目標について、住宅街の緑が減っているのでいまの26%から引き上げるのは難しいとしています。その理由として「北部の区画整理や慶応大学周辺の街づくりなど適正規模の開発が必要だ。民間の開発圧力もある」としています。さらに「財政も厳しいので、やみくもに増やすのではなく、質の確保に努める」
と答えています。

これは、藤沢市が環境より、開発を優先する姿勢を明確にしたものです。わたしは、具体的な代替策も示さずに、目標を放棄する考えに強い危機感を覚えます。人口も減り、財政が厳しくなるからこそ、巨額の費用をかけて、新しい街を作るのではなく、今ある街を強くすべきです。
効率的な行政運営をめざして、住宅や公共施設を集約する「コンパクトシティ」構想が重要なのに、藤沢市は相変わらず、右肩上がりの時代の発想から抜け出せません。

全国的には、将来を見越して住宅開発を抑制する動きも出ています。例えば、高層マンションが乱立する神戸市では、学校の教室不足を盾に、業者へ協力を求める条例を作っています。
藤沢市の価値は、海を背景に緑あふれる住環境があることです。今こそ、住宅街の緑を増やす積極的な対策を打つ必要があります。そのために▲藤沢駅南口に大規模な「公園広場」を作ること、▲緑や景観を守る独自ルール「住民協定」に法的な裏付けを与えることが有効だと考えます。
さらに現行の制度の積極的な活用も考えられます。▲「緑の広場」や「市民農園」を増やしたり、▲「憩いの森」の条件を緩和するほか、▲「保存樹木・樹林」の指定を
増やすと共に補助金を引き上げることなどです。
藤沢市にはおよそ300の公園があり、整備中の計画もあります。しかし公園を作る際に余りにも「公平性」が重視され、せっかく土地があるのに整備しない側面があります。地域限定の基金を募ってでも、手が付けれるところは手を付ける姿勢が重要だと思います。

最後に根源的な問題は、緑や公園を増やそうとする担当課が、開発を進めようとする担当課と一緒の部局に入っていることです。緑を守り、増やすには、組織を独立させる必要があります。今のままでは、政策は変わりようがありません。

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藤沢市議会議員 清水竜太郎
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