元藤沢市議会議員 清水竜太郎 オフィシャルサイト

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第二波に備えた体制づくりを

6月議会の一般質問では、新型コロナウイルスの「第二波」に向けた体制づくりについて、藤沢市の考えを質しました。

日本は、感染者や死亡者が欧米に比べて極端に少なく、結果からみれば対策は成功したように見えます。藤沢市でも感染者数は60人余りです。
「終わりよければすべてよし」と言われますが、日本は、藤沢市は、感染拡大の「封じ込め」に成功したのでしょうか。「結果オーライ」ではなく、やはり検証して第二波、第三波に備える必要があります。

「保健所政令市だからこそ先手を打つべき」

今年1月、成田空港で新型肺炎を警戒するため、入国者の体温を測るサーモカメラが設置されました。潜伏期間が2週間だというのに大丈夫なのかと思いました。案の定、水際対策は失敗に終わりました。
つづいて武漢への渡航歴がない日本人が感染し、市中感染の可能性が出てきました。国や県、藤沢市保健所でも相談に乗り出します。政府は、新型コロナを指定感染症に閣議決定します。

この2月が大事だったと思います。藤沢市は保健所政令市だからこそ、市役所全体でコロナ対策の専門チームをつくり、市民への啓発や来たる患者の増加に対応すべきだったと考えます。

対策本部会議が設けられたものの、市役所全体が本格的に組織体制を強化したのは、4月になってからです。

この間、保健所は相談件数が一挙に増えて、コロナ対策を一手に引き受ける大変な状況でした。
市中ではマスクも買えなくなり、デパートでは消毒液が入り口に設置され始めました。ところがわたしが見渡したところ、保育課を除いて市役所には注意書き一つ見つかりません。

本来なら市役所が先頭に立って、公共施設だけでなく、民間にも協力してもらって、街中にも感染予防や「ソーシャルディスタンス」を呼び掛けるポスターを張るべきだったと思います。

国全体でも強い対応を求める声が高まる中、大きな転換点となったのが2月27日の臨時休校要請でした。この後、4月には緊急事態宣言が出される訳ですが、感染のピークは4月の頭だったという分析もあります。つまり、2月から3月にかけての対策が重要だったわけです。
危機管理では、初動こそが大事なのは感染症対策でも変わりません。

「保健所の恒常的な体制強化を」

藤沢市は、14年前に保健所政令市となり、県から独立しました。全国的にみますと保健所の数は激減していて、30年前と比べて半減しています。行革の一環で統廃合が進んだためだと言われます。
とくに母子保健や健康増進など福祉や健康との連携が強化された結果、感染症や災害対策がお座なりになったと指摘する専門家もいます。

今回のコロナ危機で保健師や看護師、技官など専門職の不足が表面化しました。現在、専門チームが設けられ、応援体制も敷かれていますが、臨時ではない恒常的な体制強化が必要です。

藤沢市はこれに対して、「徐々に応援保健師を増員し、4月からは電話相談の一部を業務委託している。第二波に向けて、速やかに対応できるよう、当面の間、いまの応援体制や電話相談体制を継続する。恒常的な体制については、検証を行ない、危機管理体制や保健所のあり方について検討していく」と答えました。

「感染症部門と防災部門の一体化を」

藤沢市の対応は、とくに当初、保健所に寄りかかり、市役所全体の危機意識は薄かったと受け止めています。

日本の公衆衛生は、明治政府が作った内務省衛生局から始まり、感染予防のための監視活動は警察が担っていたそうです。戦後、GHQが民主化を急ぎ、感染症対策の主役は保健所になります。

政府の旧専門家会議も感染症の学者で占められていたのに対して、例えばトランプ政権の対策チームには安全保障の担当者が入っています。感染症対策は、市民の自由を制限するだけに安全保障の視点も欠かせません。

自治体レベルでいえば、感染症対策は災害と同じ危機管理そのものと言えます。市役所全体の危機意識を高めるには、初動の立ち上げを早めるには、危機管理のプロである防災部門との一体化が必要です。

そこで保健所の中から感染症部門をいまの福祉健康部から切り離して、防災安全部に移すことが適切だと考えます。

これについて藤沢市は、「感染症対策を災害における危機管理として捉え、防災安全部が所管することについては、指揮体制や応援体制など一定部分ではメリットが挙げられる。しかし、国の特別措置法に基づく対応は、市の条例に基づき、感染症対策を行なう保健所となっている。緊急事態宣言の後は、専門チームを設置し、防災安全部を含めた全庁を挙げた応援体制のもと対応している。引き続き危機管理体制の再構築などを検討していく」と答えました。

「PCR検査の拡充を」

感染をいち早く、しかも大勢が知ることはやはり基本だと考えます。保健所の公表資料を分析しますと、感染は4月が圧倒的に多くて、7割を占めています。
発熱など症状が見られた日から、検査で陽性が判明するまでの日数を数えますと最短が3日間、最長が19日です。平均は8日で、医療機関を何件か回った後、ようやく検査に至った例も少なくありません。

そういう意味で検査基準の緩和も必要だったと思いますし、帰国者接触者外来の公表も検討の余地があると思います。そして何よりPCR検査の拡充は欠かせません。
医師会との協力でドライブスルー方式の検査体制が組まれましたが、第二波に向けた民間の協力と市の支援が必要となります。

藤沢市は、「帰国者接触者外来を設けている医療機関には、当面の間、検査を継続してもらうと共に検査の拡充について、市内の医療機関と調整している。医師会の検査センターについては8月末まで開設を延長してもらう」と答えました。

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