沖縄戦から70年の慰霊の日を迎えました。20万人を超える犠牲者を出した沖縄戦の組織的な戦闘が終わった日とされます。
沖縄に駐在していたころ、多くの戦争体験者からお話を聞くことが出来ました。沖縄戦の原稿を書くとき、いくつかの枕言葉があります。その一つが、国内唯一の地上戦という言葉です。しかし、本土で育ったわたしはその言葉を本当の意味で理解していませんでした。
作家の野坂昭如氏が、沖縄戦に関する戦争童話を書くため沖縄を訪れたことがあります。現地を調べる野坂氏は、私とのインタビューで語りました。
「沖縄戦について、書かなければと思いながら、書けなかった。関西で空襲を体験した。空から攻撃されるのは確かに怖い。しかし地上戦は違う。目の前に敵の兵士が武器を構えている。その状況は想像を超える」
戦争童話集・沖縄篇は、ウミガメの視点から戦争を捉えつつ、戦場で剥き出しになる人間の本性を描いています。