武田薬品工業と京都大学のiPS細胞研究所は、藤沢市にある武田薬品の湘南研究所で共同研究をスタートさせたと発表しました。iPS細胞の技術を応用して新たな治療薬を開発するもので、がんや糖尿病、それに心不全など六つの分野が対象です。
「万能細胞」と呼ばれるiPS細胞は、京都大学の山中教授が中心となって研究しており、再生医療の切り札として期待されています。新薬の開発では、当然、安全性と効果の確認が最も重要です。例えば糖尿病の新薬開発において、ヒトのiPS細胞から作ったすい臓を利用できれば、新薬の候補となる物質の特定が容易となります。
藤沢の研究所では、双方から合わせて60人が参加し、武田薬品が十年間で200億円を提供します。来年度からは体制を拡充させる予定で、5年以内に臨床で、患者に投与できる段階まで到達したい考えです。今後の藤沢との関わり方は定まっていませんが、大学と民間企業が、このような形で共同研究を行なうのは珍しく、成果が期待されます。