子供心に醜いと感じた風景があります。東京•日本橋の上を首都高速道路が走るあの風景です。
日本橋は、江戸時代、東海道の出発点で、橋がかかる運河は、東京湾につながる物流の拠点でした。しかし、東京オリンピックに向けた高速道路の整備で、用地買収の手間を省くため、川の上を走る形となったそうです。
ところがいま、この老朽化した首都高速道路を撤去して、日本橋の青空を、かつての景観を取り戻そうという動きが活発化しています。日本橋周辺は、老舗デパートなどが並び、大手不動産による再開発が進んでいます。再開発に際して、重要なのが、美しい景観なのです。
景観を守るといいますと一般的に環境保護グループが中心だと思われがちですが、今回、注目されるのは、活動の中心となっているのが、地元の経済界だということです。
グループでは、高速道路の利用台数が少なく、必要性が低くなっている点を指摘した上で、都心部を通る交通体系を見直し、人が主役となる環境づくりを求めています。
これが日本の最先端を行く街の新たな提案です。利便性が、何よりも重視されたこれまでの発想からの転換です。わが藤沢市にとっても、示唆に富んだ話です。