いま全国的に注目されている駅前広場が、JRと近鉄が乗り入れる奈良県の天理駅前に来年春、完成します。天理市は、この広場を市民が交流し、文化を発信できる場所にしたい考えで、デザインを公募しました。選考の結果、新進気鋭のデザイナーによる提案が採用となりました。
自治体が公共施設を作る際、デザインは軽視されがちですが、天理市は、思い切ったデザインこそが今求められていると説明しています。
6400平方メートルの広場には、古墳をイメージした円形の構造物が3つ設置されます。ひとつは、屋根が円すい形の建物になります。建物の中には、カフェをはじめ、地元の農産物の販売所が置かれるほか、市内を自転車で観光するためのレンタサイクルも併設されます。
残り二つは、すり鉢みたいな形となっていて、子供たちが、階段を上ったり、中心にあるトランポリンで遊んだりできます。また地上には、すり鉢状に窪んだ場所があり、ここの階段で市民が座りながら、コンサートなどを楽しむことができます。
駅前について天理市は、商店街や自治会、それに鉄道業者らで作る委員会を通じて議論を重ねてきました。その結果、「歴史文化があり、学生も多いのに、親子で楽しめる場所がない。素通りされている駅前を活用すれば、街の魅力も上がるはずだ」という結論に達したそうです。
天理市の担当者は、「駅前広場は、交通に便利であることが優先され、市民が集まり、情報発信していく拠点とはならなかった。完成後の使い方こそが、将来を左右する」と話しています。大胆な計画に対する反対意見はなかったのかという私の質問に対して、「人口減少で街が衰退していく中、何とかしなければという危機感が共有されている」と答えています。