藤沢市は、来年度から5年間にかかわる一般会計の財政見通しを明らかにしました。市税の減少が見込まれる中、今のままで社会保障関連などが増えて行くと、5年間で合わせて、545億円の財源が不足すると算定しています。
例えば、2021年度の歳入は、今年度より5%減少の910億円、歳出は、13%増加の1072億円を見込んでいて、この一年だけで不足額は161億円に上ります。
歳入面では、税制改正の影響で、法人からの住民税が落ち込むとしています。また固定資産税は横ばいですが、個人からの住民税が減るとしています。市税全体に占める法人住民税の割合自体は大きくはありませんが、落ち込み幅は大きくなっています。
これに対して、歳出面では、職員の給料など人件費と借金の返済など公債費が増えるとしています。そして伸び率が大きいのが、社会保障など扶助費と公共工事など投資的経費です。
扶助費は、少子高齢化や格差拡大を踏まえるとさらなる増加が見込まれるため、住民との協働を強めたい考えです。また公共施設が一斉に老朽化しているため、優先順位をつけて対応する計画です。藤沢市は、「これまでと同じ手法で対応するのは極めて難しい」と強調しています。
わたしは地方勤務で、財政の厳しい自治体を見てきただけに、健全財政を拠り所とした藤沢市の危機感の薄さに不満を抱いていました。何を守り、何を捨てていくか。今回の推計を機に、新たな街をつくるのではなく、今ある街を強くすることに方針転換すべきだと思います。