鎌倉市の道路網は、鎌倉時代とほとんど変わっていません。それなのに休日は、クルマを利用する観光客で渋滞します。そこで鎌倉市は、歴史的な観点から、新しい道路整備ではなく、いまある交通体系をどう利用するか、知恵を絞ってきました。
代表的な例が、40年以上つづく、年末年始の中心街への交通規制です。鎌倉では、初詣客で込み合う大晦日から正月、そして新年の2日と3日にかけて、大々的に交通を規制しています。鎌倉駅や鶴岡八幡宮の周辺は、歩行者専用となり、車両が入れないほか、その近くもバスとタクシーの専用となります。そして長谷寺に向かう由比ガ浜大通りや、北鎌倉に向かう鎌倉街道、それに逗子市や藤沢市に向かう道路も一部が通行を規制されます。
規制区域の住民や事業者でクルマを利用する人に対しては、鎌倉市から「通行手形」が事前に発行されます。一度「通行手形」を入手すれば、毎年使えますが、年間でおよそ2000枚が発行されています。鎌倉市の予算は300万円で、警察のほか、独自に委託した警備員が交通規制に当たります。バスやタクシーは規制の対象外で、公共交通機関を利用するよう周知に努めるなど協力しています。