亡くなった翁長知事を取材したのは、翁長氏が自民党沖縄県連の幹事長だったときです。愛想がよく、いかにもやり手という雰囲気を醸し出していました。
その後の保守県政の立役者であり、辺野古への基地移設を進める旗振り役でもありました。このため内心、わたしは快く思っていませんでした。
しかし、実務能力は抜群でした。那覇市長になると最大の懸念だったゴミ問題に着手し、早々と成果を上げました。このとき、わたしは学びました。政治家にとって理想も大事だが、具体的な政策を提示し、実行することが何よりも大事なのだと。
沖縄を離れて長い年月が経ち、信じられない事態が起きました。翁長氏が、移設の受け入れを表明した知事に対抗して立候補したのです。180度の政策転換でした。わたしは理解に苦しみました。政治の世界は恐いなと思いました。
何が翁長氏を変えたのか分かりません。ただ最後まで移設阻止に努めた姿は立派でした。
先月、「1フィート運動の会」の福地元代表が亡くなりました。「1フィート運動」とは、アメリカ国立公文書館がもつ沖縄戦を記録したフィルムを全国からの寄付によって買い集めた運動です。30年間で220に上るタイトルを収集し、いまは団体も解散し、フィルムは沖縄県公文書館に寄贈されています。沖縄戦の実相を伝える貴重な資料となっています。