横浜市や東京都では、お年寄りがパスを提示してバスに乗る光景を目にします。ところがサービスを評価する声が多い中で、深刻な問題を抱えています。
横浜市が発行する「敬老パス」は、70歳以上が対象で、市営のバスや地下鉄だけでなく、江ノ電や神奈中など合わせて11の民間のバスも利用できるサービスです。対象者の半数以上の37万人が交付を受けています。
利用者の負担は、所得に応じて異なりますが、年間2万円余りから1万円などとなっています。ところが財政負担は重く、100億円を超える事業費のうち、8割を市が負担しています。
東京都の「シルバーパス」も同じような制度です。対象は70歳以上で、都営の地下鉄やバス、それに民間のバスなどが利用できます。費用は、基本2万510円に設定されていますが、98万人に交付されています。ここでも財政負担は重く、170億円余りがバス協会に支払われています。
東京都では、サービスの意義を尊重しつつ、持続可能な制度にするため、どう改善すべきか検討していて、大規模な調査を実施する予定です。高齢化が進む中、財政負担の議論を抜きにサービス維持は難しい状態です。