空き家が増える中、藤沢市が実施した調査結果からは、管理費用や家庭内事情などで苦悩する所有者の姿が浮き彫りになっています。
調査は、外観をもとにした建物のうち、居住実体のない937件が対象です。調査の結果、地区別では▲長後が一番多い140戸で、▲鵠沼の113戸、▲藤沢の107戸、▲御所見の105戸などとつづいています。逆に少ないのは、▲湘南大庭の19戸、▲明治の31戸、▲湘南台の39戸などとなっています。
空き家の状況については、▲「きれいな状態」と「壁がはがれている、亀裂が入っている」が半々でした。また▲「植木や雑草が茂っている」のが7割で、中には「道路や隣にはみ出している」ケースもあります。「門がない」空き家は半分に上っています。
藤沢市はまた、253件の所有者に対してアンケートを実施しています。空き家の建物の利用については、▲「利用せずに空き家状態」が25%で最も多く、「物置や倉庫として使っている」「貸し出ししている」「固定資産税など税制上の理由で建物を残している」などとなっています。
▲建物が建てられたのは、「1971年以前」が4割で最も多く、1981年の法改正による耐震基準を満たしていない建物が6割に達します。▲使っていない期間が、5年以上になる建物も半数に及びます。
空き家の維持管理については、▲「週に一回」から「2、3か月に一回」など比較的頻繁に行っているのは4割で、16%は放置されています。
困っていることについて聞いたところ、▲「近隣への迷惑や不法侵入など」が一番多くなっています。そのほか、「管理の費用」や「解体の費用」などコスト面の課題が目立っています。
さらに「賃貸や売却先が見つからない」や「相談先がない」「管理をお願いする人がいない」など外部的な課題、「年齢や身体的な理由で管理できない」「遠方に住んでいる」「権利者間の意見調整ができない」など内部的な課題が浮かび上がりました。
建物の今後の扱いについては、▲「売却または貸し出したい」が3割で最も多くなっていますが、「現状のまま所有する」もそれに続いています。
その一方で、「公的な事業に使ってほしい」「自治会などで有効活用してほしい」などの意見も出ています。
活用に当たって困ることについては、▲「更地になったときの税金」のほか、「賃貸や売却先が見つからない」「解体の費用」「荷物の処分」などが挙げられています。