最近いちばん驚いたのは、内閣府が、災害時のとき出される「避難指示」と「避難勧告」を一本化する方向だというニュースです。
内閣府が実施した去年の台風19号に関するアンケート調査で、両方の意味を正しく認識しているのは、2割もいないことが明らかになるなど混乱が指摘されているためです。
新しく設けられた警戒レベル上では、お年寄りなど避難に時間が必要な人の避難を呼びかける「避難準備」が、警戒レベル3となっています。
ところが、「避難指示」と「避難勧告」は、同じ警戒レベル4に入ってしまっていて、重要なところが、分かりにくくなっていました。
しかしこれには理由があります。「避難指示」は、必ず出されるものではなく、地域の状況に応じて、緊急的または重ねて避難を促す場合に出されるとしているからです。
「避難勧告」は、避難を始めるタイミングであり、速やかに避難すると定められているのに対して、「避難指示」は、避難を始めるタイミングを過ぎており、身の安全に配慮しつつ、速やかに避難すると定められています。
つまり、あくまで「避難勧告」で逃げてください、「避難指示」はおまけ、という訳です。
しかし実際は、「避難指示」こそ、避難するタイミングだと誤解している人がもっとも多く、避難する割合ももっとも多いことが分かっています。
わたしの感覚もこちらに近く、「避難指示」のもつ重みはケタ違いです。
国民の大半が、災害という生命に関わる問題で、言葉の正しい意味を分かっていなかったことは恐ろしいことです。国や自治体、それに報道機関がいくら呼びかけても、受け手がちがう風に解釈していたとしたら根本が崩れることになります。ただちに改善が必要です。
その一方で、国民の肌感覚を理解することも重要だと思います。現実に即さなければ、生命を守るという防災行政の目的も達することができません。
わたし個人は、「避難勧告」は黄信号、「避難指示」は赤信号のような位置付けにした上で、それに対応する警戒レベルを分けるのが、いちばん分かりやすいのではないかと考えます。