元藤沢市議会議員 清水竜太郎 オフィシャルサイト

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子どもの連れ去りと支援措置

この7月、EU議会は、国際結婚が破たんした際、日本人の親が一方的に子どもを連れ去るケースが相次いでいるとして、連れ去りを禁止する措置や共同親権を認める法整備を求める決議を採択しました。

あまり知られていませんが、日本では片方の親が子どもを突然、連れ去る事例が多く、誘拐や拉致という言葉で批判されています。

国内では、子どもを連れ去る際、その親が、「DV等支援措置」と呼ばれる制度を利用する傾向がみられます。
これは、家庭内暴力の被害者を守るための制度で、市町村に申し出ると行政側は、もう片方の親に対して、住んでいる場所を知られないよう住民票などの交付を拒絶できます。

申告の際には、警察や婦人相談所が兼ねているDVセンターなどに相談の上、意見をもらう必要があります。適用の要件は、「配偶者から暴力を受けた者、かつ、暴力によって生命または身体に危害を受ける恐れがある」と定められています。

支援措置自体は、即効性のある大事な制度だと思います。DV防止法の適用は、ハードルが高いのに比べて、すぐに「加害者」を遠ざけることができるからです。

しかし、制度には欠点があります。認定は、「被害者」の申告だけで行われ、「加害者」は反論がまったくできない点です。
このため、DVの事実がないにもかかわらず、親権の獲得を有利にするため、子どもを連れ去り、支援措置を申告するケースが増えていると指摘されています。

実際、愛知県半田市を相手取って起こされた裁判で、和解が成立しましたが、その内容は、支援措置の不適切な取り扱いを陳謝することと加害者扱いされた男性の名誉侵害を認めるものでした。

このように事実確認ができるよう「加害者」側の意見も聞くことが必要だと思います。そして大事なのは、子どもをめぐる問題とDV被害をめぐる問題を整理した上で議論することです。

男女共同参画局のアンケート調査では、心理的なものも含めた配偶者からの暴力について、女性が3割、男性が2割があったと答えています。

DV防止法の対策としては、裁判所が出す「保護命令」や、婦人相談所が決める「一時保護」があります。特に一時保護は、身体的暴力など緊急性が認められる場合に限られていて、利用しづらいと批判されているだけに改善が必要です。

大人は、子どもを中心に考えなければならないし、DV被害を防ぐ手立ても強めなければなりません。目的は同じはずなのに対立しあう、いまの政治状況を残念に思います。
離婚が増える中、今後、この問題は深刻化し、顕在化するはずです。問題の解決に向けて動き出すことが何よりも求められていると思います。

連れ去り

藤沢市議会議員 清水竜太郎
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