藤沢市アートスペースは、毎年、市内外からアーティストを募集し、制作と発表の場を提供する事業を行なっています。6回目となる今年も募集しており、5月16日が締め切りです。募集する人数は4人、または4組で、40万円が支給され、3か月余りに渡って、アートスペースを利用することができます。
去年の応募は82件に上り、4人の若手が、作品を制作して、3月まで展示されました。アートスペースによりますと湘南地方に制作場所があることが魅力なほか、制作中のアーティスト同士や市民との交流が貴重だということです。
こうしたアーティストを一定期間招いて、滞在中の制作活動を支援する「アーティスト・イン・レジデンス」の取り組みは、欧米が先行しましたが、国内でも広がっています。歴史があるのは、著名な海外アーティストを輩出している茨城県のアーカス・プロジェクトや青森市の国際芸術センター青森の事業などです。
民間でも、横浜市や大田区で空き店舗や蔵を改装した家などを利用した事業が人気です。そのほか、過疎地域で移住の促進を狙って取り組んでいる例も見られます。
また募集する分野も多彩で、現代アートのみならず、音楽や演劇、文学、それに建築まで広がっています。アートスペースの育成事業も、人気を博していますが、こうした実情を踏まえるともう少し特色が欲しいところです。
日本の現代アートに足りないのは、作品に市場価値をつける仕組みだと指摘されています。専門家は、画廊が核となって、コレクターや評論家が協力して、アーティストを戦略的に売り出すことが重要だと強調します。
若手が海外にしか活路を見いだせないのはもったいないことです。アートスペースがそういう役割を果たすことができればいいなと考えています。