閑静な住宅街で知られる兵庫県の芦屋市は、公園を有効活用してもらおうと公園を気軽に貸し出す取り組みを始めています。
芦屋市にはいちばん身近な街区公園が93か所ありますが、だれでも使える空間であるだけに世代によって過ごし方が大きく分かれ、例えば「危険なボール遊びの禁止」など禁止事項だらけになっていると指摘します。芦屋市では、こうした厳しいルールによって保たれている安心安全に対して疑問を感じ、もっと自由に公園を有効活用できないか検討してきました。
その結果、民間が仲介することで、気軽に公園を借りることができる仕組みを今年度から導入しています。「公園のレンタル」=占用使用には、通常、自治体からの許可が必要です。これまで利用者は申請の際、書類を窓口に提出し、許可が出ると今度は、許可書を取りにいかなければなりませんでした。
今回の取り組みは、藤沢市も公園の情報で連携している東京の会社「パークフル」のシステムを利用することで、ネットで申請できるなど手続きが簡素化されます。
「公園を借りる」と言いますと自治会が利用するイメージが強いですが、芦屋市では去年の実証実験で、マルシェと呼ばれる即席市場の開催を成功させています。利用方法は大小さまざまですが、気軽に申請できるとなれば、子どもたちがのびのび遊べる「自由な遊び場」にも変身できます。「自由な遊び場」を確保する観点からも、おもしろい試みだと感じています。
芦屋市と言えば、美しい街並みを残すため、全国でもっとも厳しいと言われる屋外広告物への規制が有名です。芦屋市は、住宅都市としての個性を大切にしていて、住宅街に点在する公園の活性化に力を入れています。
藤沢市の本質も住宅都市のはずです。ミニ東京になるのではなく、自然と調和する住宅都市としての個性を伸ばしていくべきです。公園はそのための大きな武器になると思います。