元藤沢市議会議員 清水竜太郎 オフィシャルサイト

清水竜太郎のオフィシャルサイトです

藤沢市民会館リニューアル基本構想の問題点

藤沢市は、建て替えを計画している市民会館の基本構想の素案を提示しました。市民が利用しやすい居場所的なホールをめざす考えなどを明らかにしていますが、議会では厳しい意見が相次いでいます。

素案では、大小のホール及び図書館や市民ギャラリーなどを複合化するとしています。全体の事業費は固まっていませんが、施設だけでおよそ171億円かかるほか、浸水対策費として、90億円から100億円かかる見通しです。

中心となるホールについて、藤沢市は、これまでのホールが音楽や講演に使われ、興行向けに使われるケースが少ないことから、興行向けではなく、市民が利用しやすい市民のためのホールをつくりたい考えです。

これに対して、特別委員会では、人口が減っていく中で収益性を考えないのはおかしいのではないか、施設自体ではなくまちづくり全体の観点が必要なのではないか、民間と連携しながら計画を練らなければ民間の活用は難しいのではないかといった意見が出されました。

わたしもただのホールをつくる必要はないと考えています。藤沢市は、ほかの自治体と比べて公民館が発達していて、もはや大きな公民館をつくる必要はありません。やはりホールの目的を明確にする必要があると訴えました。

それは劇場としての性格です。居場所としての役割は、まさに図書館が担うべきだと思います。現にいま、全国では図書館内を機能別に分けて、「おしゃべりができる図書館」が花盛りです。

そして重要なのは、藤沢市がどういう文化芸術をつくっていきたいのかという点です。幸い藤沢市は、市民オペラを柱にしたいと答えています。せっかく市民オペラという財産があるのだから、オペラに力を入れた劇場、オペラハウスとしての性格が強いホールがよいのではないかと考えます。

わたしが勤務した静岡県の浜松市は、2300席を超える大ホールを抱える民間との複合施設、「アクトシティ浜松」をつくりました。オペラやクラシック、演劇ができる本格的な施設です。バブル期の産物とはいえ、国際的な音楽祭を誘致し、浜松市を楽器のまちから音楽のまちへと変えました。

藤沢市の姉妹都市、長野県の松本市は、それまでの市民会館を音楽や演劇ができる「市民芸術館」に建て替えました。建設には反対も多かったようですが、指揮者・小澤征爾氏の名前を関した音楽祭の会場にもなっています。

横浜市以外の近隣のライバルとしては、音響の良さを売りにした大ホールがある「鎌倉芸術館」やオペラハウス仕様の大劇場をもつ「横須賀芸術劇場」があります。

藤沢市はこれに対して、個性がはっきりしたホールは考えていないと否定しました。もし劇場ではなく、多目的ホールにするなら、違う目的付けをすべきだと思います。

それは、国際会議ができるホールです。観光地・江の島を抱えている訳ですから、民間のホテルを併設することで国際会議を誘致する「国際会議観光都市」をめざす要件がそろいます。県内では、横浜市と箱根町が認定されています。

ホールの目的以前に問題なのが、いまの場所が洪水の浸水想定地域であることです。この問題については、前回の委員会で、将来的な災害の激化を考えれば、果たしていまの場所が適切なのか再考する必要があると指摘しました。そしてホールや図書館が、経済的な起爆剤になることから、藤沢駅前についても再検討すべきだと主張しました。

素案では、いまの場所に4000平方メートルの敷地を確保した上で、大規模なポンプ場を建設する方向です。ただこれほど巨額の浸水対策費をかけてまで、この場所にこだわる必要性があるのか疑問が深まっています。

藤沢市民会館

 

藤沢市議会議員 清水竜太郎
〒251-0052 藤沢市藤沢 991-19-901
© 2015 Ryotaro Shimizu All rights reserved.