不登校の子どものため特別な教育課程をもつ学校、「不登校特例校」が来年4月から大和市で開校します。不登校特例校は、学習指導要領に縛られず、不登校の児童生徒の特性に合わせたカリキュラムを組めるのが特徴です。
大和市が設けるのは、不登校特例校の分教室で中学生が対象です。予定する生徒数は30人で、一つの教室に6人程度、合わせて6つの教室を準備します。
大和市では、不登校になるのを未然に防ぐため支援員や心理的な問題に対応するスクールカウンセラーを配置しています。また学校外でも青少年相談室や教育支援教室があります。ところが年間30日以上欠席する生徒は238人に増加していて、多くが何らかの原因で登校しない、或いはできない状況です。
大和市は、分教室を設ける理由として、「学校への復帰を目標としない」ことを挙げています。これまでは「学校への復帰を視野に入れながら支援体制を取ってきたが、それを望む生徒がいる一方、これまで通ってきた学校以外の場で社会的自立を望む生徒もいる」と指摘しています。分教室では、一人一人にあった柔軟な学習が柱となり、たとえ登校できない日でも自宅でオンライン学習やカウンセリングを受けられます。
文部科学省のまとめでは、全国には、東京を中心に17の特例校がありますが、県内には横浜市にある私立星槎中学校・高校だけです。
藤沢市教育委員会によりますと昨年度の不登校数は、小学校が252人、中学校が504人の合計756人で、前年度より60人増えています。要因として最も多いのは、「無気力、不安」です。
藤沢市でも、スクールカウンセラーをはじめ、クラスをもたない支援担当教員が対応しているほか、学校教育相談センターの相談支援教室が拠点となっています。教育委員会はまた、フリースクールやホームスクーリングを含めた民間との情報交換や連携に努めているとしています。
N高校に代表されるようにオンライン学習は、学校で学ぶしかなかった公教育の形をやすやすと変えつつあります。その一方で、コロナ危機で「生身の体験」の大切さも再確認されています。そういう意味で、どちらにも対応できる不登校特例校が公立で、しかも隣の自治体にできるのは衝撃的です。
何でも一律にやろうとする学校生活に息苦しさを感じる子どもは少なくないはずです。そして事実上、必要な学習内容を身につけないまま、卒業させているのは酷とさえ言えます。枠にはまらない子どもを枠にはめようとするのではなく、一人一人にあった公教育を少しでも提供することが大事だと思います。