わたしが今年度の委員長を務める建設経済委員会の視察で、横浜市の洋光台団地の再生プロジェクトについて視察しました。
洋光台の団地群は、根岸線の洋光台駅をはさんだ南北に1970年前後に相次いで建てられたもので、URの賃貸や分譲のほか、市営や県営が住宅街の中に広がっています。
プロジェクトの対象となったのは、URの賃貸である「洋光台中央団地」と「洋光台北団地」で、魅力ある団地再生に向けたテコ入れが必要となっていました。10年前から始まったプロジェクトはURが中心となり、各分野の専門家でつくる会議と横浜市など行政や地元住民でつくる会議に分けて、再生に向けたアイディアを出し合ったということです。
プロジェクトの目的として掲げられたのが、集まって住む団地ならではの魅力を最大化するために空間や設備、時間を共有する仕掛けを整備し、情報を発信することです。
まずハード面では、駅前につながる目抜き通りともいえる中央団地広場の活性化です。広場に向かって立っている団地の2階部分に沿うように巨大な通路・デッキが作られました。頭上にはデザイン性の高いひさしが付けられ、現代的な縁側のような趣となっています。
また北団地の建物は白く塗りなおされた上、ベランダなど一部に木目のデザインが施され、これまでの冷たく硬い印象から温かく柔らかい印象に変わっています。真ん中にある広場も柵や段差をなくした上で一面を芝生で覆う形に変わっています。そのほか、階段に囲まれた底の部分をステージに見立て、階段部分を座席として利用することで屋外集会場をつくり出しています。
ソフト面では中央団地の2階部分にある2部屋が提供され、一つがさまざまな地域活動の情報を集め、発信する拠点「まちの窓口」となっています。働き世代がスタッフとして支えていて、団地に住む人だけでなく幅広い人が利用していくということです。
こうした活動を実際に行なうのが隣にある部屋で、割安な料金で借りられます。活動としては、縫物や工芸、美容健康、書道、語学、介護や子育て相談などで、稼働率は7割に上るなど活発です。
URによりますと現在、団地の賃貸は全体的に好調だということですが、再生プロジェクトの効果として若い世代の入居が目立つということです。
古い団地は一斉に建てられた故に一斉に高齢化を迎えていて、藤沢市でも大庭地区などで同じ課題を抱えています。洋光台の再生プロジェクトは、駅前という特殊な利点があるものの、デザインやアイディア、そして地域活動の見える化によって団地再生の可能性を示した好例で、藤沢市でも活かしたいと思いました。
コロナ危機が収まらない中、快く視察を受け入れていただいた横浜市住宅部、UR神奈川エリア経営部、洋光台まちまどのみなさま、そして調整に尽力いただいた議会事務局のみなさまにお礼申し上げます。