建設経済委員会の視察で奈良県天理市を訪れ、独特なデザインで知られる駅前広場について学びました。
この広場は、「コフフン」と呼ばれ、JR天理駅の目の前に広がる7000平方メートルを越える敷地に5年前オープンしました。それまではただ広い空間があるだけでしたが、芝生と円形の凹凸で作られた独特の建築物がある空間に変貌したのです。
白い建築物は主に4つあり、▲内側で子どもが渦巻き状の壁を走って遊べる施設や、▲内側で子どもがトランポリンのように跳ねて遊べる施設、▲階段の底でコンサートなどのイベントが開ける施設、そして▲中が飲食店などになっている屋根付きの施設です。
これらの建築物は、天理市に1600以上ある古墳をイメージして著名なデザイナー佐藤オオキ氏が考え出しました。天理市の歴史文化を踏まえて統一感がある遊び心あふれるデザインはまさに圧巻です。
駅前広場の開発は、閑散としていた駅前を賑わいのあり、子どもたちが遊べ、市民が活動を発表できる場所に変えるため計画されました。また近くにある商店街の活性化につなげる狙いもあります。
計画は土地をもつ天理市とJR、近鉄のほか、地元経済界や市民団体でつくる街づくり協議会で話し合われた上で、公募で選ばれた佐藤氏の案で進みました。そして木々を植えたり、バリアフリー化や授乳室を設けるなど市民の意見を取り入れながら合意形成を図ったということです。
総事業費は13億円になりましたが、例えばイベントの年間開催数はオープン当時の275件から、コロナ危機直前は530件に増えるなどまちの中心的な場所になりつつあります。この日も子どもたちが当たり前のように広場で遊んでいました。
わたしは藤沢駅南口にある空間を大規模な公園広場に変えたいと訴えています。車が優先される駅前から、人が優先される駅前へ変わるときです。駅前こそまちの玄関であり、顔です。駅前がどういう駅前かでそのまちが大事にしている価値観がわかると思います。天理市は歴史文化を大事にする価値観を斬新なデザインで見事に表現していると感じました。
実はわたし個人は、6年前、藤沢駅前広場の参考にするため、天理市を視察しています。そのときはまだ現場は建設工事中で、「コフフン」の全貌はまだ見れませんでした。しかし天理市の説明を受けて想像が広がりました。今回、出来上がった広場を見ることができて感無量の気持ちでした。藤沢市もこれ位、志が高く、大胆な構想力が必要だと実感しました。
視察に際し、天理市議会事務局および天理市市長公室のみなさまに改めてお礼申し上げます。