景観路線に注力を
「見えるみどり」の代表格が街路樹です。街路樹について藤沢市は、メリハリのある管理が必要だとしてせん定など手入れを行なう「景観路線」と必要なら伐採も検討する「再生路線」に分けて対応します。駅周辺の街路樹など「見せるみどり」を増やすため効果的な方法だと思いますが、問題は、本当に「景観路線」に力を入れてくれるのかということです。
これについて藤沢市は、「街路樹は景観の向上、交通安全、防災機能の機能があるほか潤いや安らぎをもたらす。しかし近年、一部では木が大きくなりすぎて根が盛り上がったり、老木が倒れるなど影響を及ぼしている。厳しい財政状況もあり、管理計画で路線を分類して管理をはじめている。
景観路線については、2020年4月は高木が2691本、中木が772本あったが、二年後は高木が2654本、中木が776本になった。今後の景観路線は、捕植を行なうほか、せん定や除草の水準を高めるなどより安全で魅力的な空間になるよう維持管理を進める」と答えています。
みどりを守る人材の育成を
みどりの管理はもはや行政だけではできません。厳しい財政の中、街路樹の中には「強せん定」と呼ばれる方法が取られています。これは大きな枝を切り落とすもので、手間が省けますが、木全体の体力が弱くなると言われます。わたしがメンバーである保護団体・藤沢グリーンスタッフの会は行政だけでなく、民間企業からも依頼されて、緑地の保全活動を行なっています。
グリーンスタッフの会は、一年間の養成講座を受けて初めてメンバーになれるなど人材育成のお手本になります。みどりの維持管理に専門性の高いボランティアをもっと活用するときです。そのためボランティアを募るのではなく、つくり出すこと、本格的な人材を育成する「藤沢大学」のような養成機関をつくるべきだと質問しました。
これについて藤沢市は、「藤沢グリーンスタッフの会のほか、生物多様性守る人の発掘する施策を掲げており、普及啓発活動に取り組み始めている。引き続きこれらの活動を行なうと共に生物多様性センターを使いながら人材発掘に取り組む」としてわたしの提案には消極的な姿勢を示しました。
環境政策としてのみどりを守る独立組織を
わたしは街路樹に代表されるようにどれだけ道路の安全を確保しつつ、みどりを守ろうという議論が市役所の中で行われているのか疑問に思っています。緑の基本計画では、緑の保全のために公園整備を進めると書いてあります。しかし公園課をはじめ、みどり保全課、街並み景観課など本来みどりを守るべき担当課は、すべて建設部門に入っています。
建設部門は開発志向が強く、みどりを守る余裕は感じられません。環境部が出している環境基本計画の中では、「藤沢ならではの景観の保全、良好な環境をつくる」「都市公園など新たな緑がつくられ、潤いのある生活が送れる」ことを掲げています。みどりを守ることが環境政策であることは藤沢市も認識しているのですが、環境政策を主導しているのは建設部門ではなく、ごみ処理などを担当する環境部です。
藤沢市が本気で環境政策を進めたいなら、本来みどりを守ろう、増やそうとする担当課が建設部門にあるのは時代遅れだと思います。環境政策を総合的に推し進める独立した部局をつくるか、環境部に入れるべきだと考えます。
これについて藤沢市は、「遠藤笹窪谷公園や村岡新駅周辺地区のまちづくりにおいて、みどりの機能や効果を最大限生かす取り組みを計画段階から一体となって進めることが重要なため、現在と同じ建設部門の中で総合的に進めていくのが最も効果的だ」と述べて、わたしの提案を否定しました。