新型コロナの感染が拡大して「第8波」に入っており、神奈川県内の中等症向けの病床利用率も高くなっています。
感染者の全数把握を簡略化し、9月下旬からセルフテストで陽性となった方はオンライン登録に申請するやり方に変わり、重症化しやすいお年寄りや基礎疾患がある方が医療機関を受診しやすいようになっています。
重症化しにくいオミクロン株の特性を考えれば適切な対応ですが、問題は重症化しやすい方が早めの入院や適切な治療が受けられているかどうかです。第7波の神奈川県の医療状況も、デルタ株のときのように重症向けの病床が足りないことはありませんでしたが、中等症向けの病床利用率は9割近くになるなど余裕はありませんでした。
またコロナが直接の原因ではなくても、もともとの持病が悪化し、体調が急変して亡くなるケースが多く、藤沢市の発表でも8月だけで32人が亡くなっています。
これについて災害対策委員会で藤沢市は、入院や治療の必要性は、陽性と判明したときや自宅療養で体調が変化したときに診察した医師の判断によるとした上で「自宅療養の場合、その間、ラインやAIコールシステムによる健康観察、それにコロナ119番で体調不良の時は医師や看護師と相談できる体制を敷いている」と答えました。
12月に入って藤沢市でも感染が増えていて、一日当たり200人から500人の感染が報告されています。これに従って神奈川県の病床利用率も、重症向けは25%にとどまっていますが、中等症向けの確保病床は最大となっていて、入院は2158床のうち8割に迫っています。
今後、新たな感染症に対応するためにも、日本独自の医療体制を立て直し、強化しなければなりません。国でも感染症法などが改正され、都道府県が中核となる医療機関と協定を結んで病床などを確保することを義務付けています。しかし対象となるのは公立病院などで、多くの中小の民間病院は協議次第である点が課題となっています。また一時期「野戦病院」のような臨時施設が注目されましたが、貴重な人材を効率的に集める仕組みも大切です。
藤沢市も保健所政令市として県と共に体制強化に向けた検証に取り組むべきではないかという質問に対して、藤沢市は「神奈川県は医療機関と協定を結んで、病床確保に努めており、県単位の判断となる」と述べるにとどまりました。
第8波でもセルフテストができるために抗原テストのキットが重要です。キットの不足がないようにキットを確保し、検査体制を構築する必要がありますが、藤沢市は「薬事法に基づいたキットについて厚生労働省に報告をあげており、10月末時点で100万回以上の在庫があり、さらに強化している」と答えました。
現時点で第7波の時のような急激な拡大はみられませんが、専門家は「BA.5」から「BQ.1」への置き換えが進めば、感染が急拡大する恐れがあると指摘しています。「2類相当」からの引き下げも必要だと思いますが、お年寄りや基礎疾患のある方を守るため、まずは基本的な感染対策を行なって、この冬、第8波を乗り越えましょう。