学びながら働くことと生活保護の打ち切りをめぐる熊本地裁の判決を受けて、大学への進学はぜいたくなのかという議論が出ています。生活保護を受けている世帯では大学や専門学校に進学することを認めず、進学する場合、世帯から分離しなければなりません。
生活保護を受給していないが、生活が苦しい世帯はもちろん多く、進学するために自ら働いたり、奨学金制度などを利用しながら学費をまかなっています。生活保護をうけているのに大学に行けるのなら不公平だというわけで、筋が通っていると思います。
ただ大学などへの進学率は8割に上り、大学などへの進学がぜいたくではなくなってきているのも事実です。先日、久しぶりにカトリック教会の子ども食堂の手伝いに参加しましたが、そこでは学習支援も行なっていて、決して恵まれているとは言えない家庭の子どもたちが進学に向けて勉強しています。
学習支援の目的の一つには、進学によって少しでも職業の選択肢を広げ、自立の一歩につなげることがあります。大学や専門学校への進学がいわゆる「貧困の連鎖」を断ち切る上で重要な役割を果たす点を考えれば、大学生を生活保護の対象外にするのは考え直すときなのではないかと思います。
横須賀市は、親から虐待を受けて避難している大学生が生活保護の対象外とされたことから、救済する制度を新設する予定で、厚生労働省に対しても生活保護制度の柔軟な運用を求めています。
藤沢市には給付型奨学金がありますが、さきの予算委員会でのわたしの質問に対して「大学生が生活保護の対象外になっており、セーフティネットの穴を埋めていかなければならないという認識だ」とした上で、「市だけでなく国や県も連携して取り組まなければならない重要な課題だ」と答えています。