仕事柄、まちを歩くことが多くなります。特に3年間に及ぶコロナ危機では、市民の方々に自らの活動を知ってもらうため議会報告を届け続けました。その数はのべ数万軒に上ります。
公務についた8年前と比べてまちの風景も変わってきました。住宅地の貴重な緑が少なくなり、空き家も増えています。その一方で小さくても新しい家を大事に住まわれている方々や子どもたちの遊ぶ声も聞こえてきます。
もうひとつ気が付くのが表札を掲げていない自宅が増えていることです。その数は決して多くはないのですが、確実に増えているという実感があります。
これには様々な理由があるのでしょうが、防犯上の理由が一つ上げられると思います。かつては家族全員の名前が書かれた表札が多くみられました。しかし今は少数派です。最近の特殊詐欺や強盗事件を考えれば、個人情報でもある名前をさらすのはリスクだとも言えます。
住宅会社によりますと表札の歴史は意外と新しく、明治時代に入って戸籍がつくられ、普通の人が名字を持つようになってからだということです。とくに関東大震災で多くの家が倒壊したため、自分の家を明確にしようと表札が普及したようです。
もちろん表札を掲げることは念願の自宅を手に入れたとき、旗を掲げるような高揚感があることでしょう。また郵便物が間違いなく配達されることや、地域のご近所同士の交流にも役立ちます。
最近、たまに目にするのは通常の表札とは違う独特な表札です。子どもたちと一緒に作ったと思われる彫刻や焼き物の表札が玄関の壁ではなく、隅のほうに置いてあったりします。表札を掲げるのは日本独特らしいですが、少しずつ形が変わっていきそうです。