元藤沢市議会議員 清水竜太郎 オフィシャルサイト

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交通政策こそ環境政策

今年の大型連休は、各観光名所もコロナ危機以前のにぎわいを取り戻したようです。藤沢市の江の島やとなりの鎌倉市も連日、人出で混む様子が報道されました。

わたしは江ノ電の込み具合を確認するため、混雑が予想された5月3日の午前中、藤沢駅の周りを調べました。果たして混雑は本物だったのでしょうか。

コロナ前ほどの混雑はなし
午前10時。藤沢駅では10人ほどの係員がミーティングの後、改札前からJRにつながる2階のデッキ上に配置されました。デッキ部分には駅へ向かう人と駅から出てくる人を分けるためロープが張られました。
 
コロナ危機直前の2019年の大型連休中も調査に来ましたが、午前中の混雑はすさまじいものでした。長蛇の列はオーパ側から旧横浜銀行、そしてJR側までデッキを囲う形につながりました。今年もこれくらいの混雑が起きるのではないかと想像しました。

ところが午前11時を過ぎても行列はできません。駅構内は行列ができて、電車に乗れずに次の電車を待つ事態は生じていましたが、以前のような異常事態は起きませんでした。混雑が予想された3日間について江ノ電に聞いたところ、4日は改札を出たところまで列ができたものの、コロナ危機前ほどの混雑はなかったということでした。

住民優先の取り組み
わたしが江ノ電の混雑ぶりを調べるようになったのは、鎌倉市が6年前、住民を優先する社会実験を始めたからです。これは大勢の観光客が来ることで生まれる混雑に住民が巻き込まれないよう、あらかじめ発行した証明書があれば、優先的に駅構内に入れるものです。同じ観光地であり、同じ江ノ電でつながっているのになぜ藤沢市はこのような取り組みを実施しないのか不思議でたまりませんでした。

鎌倉市は2019年の取り組みを検証しています。それによりますと証明書を申請した方は、極楽寺や稲村ケ崎などを中心に2811人に上っています。そのうち実際、証明書を利用した方は136人となっています。混雑の状況については77%が「混雑していて移動に支障がある」と答えていて、9割が取り組みに理解を示しています。

取り組みの成果は
検証結果を見ると実際に利用した市民は多いわけではありません。証明書を使って短縮された時間も半分の10分程度となっています。藤沢市でもそうですが、鎌倉市でも混雑が予想されるため、わざと混雑する時間帯を避けた方も少なくなかったと聞いています。実際の効果に比べて支持が高いのは、いわゆるオーバーツーリズムへの対策もあって、住民のことを配慮してくれる鎌倉市の姿勢が評価されているからだと思います。

コロナ危機の最中は取り組みをやめていた鎌倉市ですが、今年は4年ぶりの再開となりました。鎌倉駅も藤沢駅と同じように異常な混雑はなかったようですが、まったく混んでなかったわけではありません。わたしも住民だと思われるお年寄りの方が藤沢駅の改札口前でうろうろしている姿を目撃しました。

環境政策としての交通政策を
鎌倉市は交通政策に熱心で、クルマから電車に乗り換えるパーク&ライドを推進したほか、渋滞がひどいときは中心部に乗り入れるクルマに課金する「ロードプライシング」について検討しています。鎌倉市としては観光業と住民生活の均衡を図っていますが、こうした交通政策は、クルマからの排出ガスを減らす環境政策にもつながるものです。

藤沢市は鎌倉市と歴史は違いますが、自然環境を大切にするという価値観を共有しているはずです。江ノ電の住民優先の取り組みもそうですが、藤沢市はなぜ積極的に動かないのか理解できません。わたしは藤沢の価値は、海と緑など自然と都市部が調和している点にあると思っています。こうした価値をしっかりと認識し、磨いていかなければどこにでもある普通のまちになってしまいます。

江の島こそ環境政策の舞台に
テレビでは大橋の車線が広がって、島内の駐車場が混雑する江の島の様子も映し出されていました。江の島こそ渋滞時は、クルマの乗り入れを規制すべきだと訴えてきました。消防団として花火大会の警備に当たったとき、クルマのあまりの混雑ぶりに防災やテロ対策上、リスクが大きいとも感じたからです。

繁忙期は「環境税」を徴収して大切な江の島島内の環境美化に充てるのも一考かと思います。江の島は特別景観形成地区であるからこそ、環境政策を体現する格好の舞台になれると思います。環境政策に熱心な自治体はこれからますます評価を高めます。環境政策こそブランド力を上げるために必要です。

江ノ電混雑

江ノ電混雑

藤沢市議会議員 清水竜太郎
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