参議院選挙への熱が高まらなかったのとは対照的に、人々の関心を集めたのが、吉本興業のお笑い芸人をめぐる問題です。
わたしは、政治への関心が高まらない原因のひとつが、日本のお笑いにあると思っています。日本と比べて欧米の方が政治への意識が高いと言われますが、人間がそんなに違いがあるわけがありません。
ただ違うのは、お笑い、コメディの中身です。アメリカで有名なのは、平日の深夜に放送されているトーク番組です。三大テレビは、同じ時間帯にトーク番組をぶつけていて、人気と実力があるコメディアンが司会を務めています。
見所は、番組の最初のしゃべりです。司会者が、最新の話題を次々に切っていくわけですが、大半のネタは政治です。大統領だろうが、大物議員であろうが、容赦なしで、笑いのネタにします。
お笑いの原点である、風刺、権力をちゃかす精神が今でも生きているのです。
視聴者も笑うためには、政治の動きを知っていなければなりません。だから、自然に政治にも関心を寄せざるを得なくなります。お笑いが、潤滑油となって、政治への関心が保たれているのです。
日本でも、ザ・ニュースペーパーのように、政治ネタを得意とする芸人もいますが、本当に少数です。お笑いこそが、政治を救う。今回の問題が、日本のお笑いを変えるきっかけになれば、うれしいです。写真は、CBS「レイトショー」の司会者、ステフン・コルベット氏。