イギリスの国民投票の結果を受けて、個別の課題について、その賛否を問う住民投票の評価が悪くなっています。
住民投票に懐疑的な人は選挙を通じて、有権者の付託を受けた代議員こそが、政策を決めるべきであり、住民投票は、感情に左右されやすく危ういと主張します。もっともな主張ですが、いまの代議制に欠陥がある、有権者の思いが必ずしも届いていないから、住民投票の出番となるのではないでしょうか。
沖縄県の名護市は、かつて普天間基地の代替施設となる海上ヘリポート基地の建設の是非を問う住民投票を行ないました。反対が過半数を超え、当時の大田知事は、海上ヘリポート基地の建設に反対を表明しました。
ところが、続く名護市長選挙、そして知事選挙で県内移設に反対する候補が敗れました。基地問題が最大の争点とされましたが、実際は違いました。県内移設の容認派は、基地問題の争点化を極力避けて、経済問題を前面に掲げたのです。
参議院選挙が選挙戦に入っています。最大の争点は、与党などが憲法改正の発議に必要な全体の3分の2の議席に届くかということです。憲法の平和主義を守るため、阻止しなければなりません。与党は憲法について、あえてほとんど触れない、争点隠しに出ています。
各候補者、各政党の政策を見ると景気の回復、教育福祉の充実、そして身を切る改革を訴えていて、区別がつきにくいです。目的を達成するための具体的な手法が大事ですが、限られた時間や紙面では、細かいところまで出せないジレンマもあるでしょう。真面目な有権者ほど、選べないのではないでしょうか。