製薬大手・武田薬品工業が所有する藤沢市村岡の研究施設が、先月、「湘南ヘルスイノベーションパーク=湘南アイパーク」に生まれ変わりました。
アイパークが、これまでの施設と決定的に違う点は、これまで基本的に武田だけで行ってきた新薬やデジタルヘルスの開発を、外部にも開放した点です。いま世界の製薬メーカーが開発競争にしのぎを削る中、生物や遺伝子工学に基づいて新しい薬や治療法を研究開発する新興企業、バイオベンチャーが注目されています。
成長産業が限られている中、ITの次は、バイオの時代が来ると指摘されています。アイパークは、こうしたバイオベンチャーをはじめ、病院や大学、投資会社、それに自治体が集結する拠点となり、新薬開発などを加速したい狙いです。
実は、世界では、製薬会社を中心にハイテクやバイオ企業が集結して、新しいものを生み出すイノベーションの拠点づくりが盛んです。ちょうどハイテクで有名なシリコンバレーのように、頭脳や資金が集結して「小さなまち」を形成しているのです。
中でもいま最も注目されているのが、MIT=マサチューセッツ工科大学を中心にバイオ関連が集まるボストン郊外です。IT業界で一人勝ちしたアメリカは、次世代をにらんで先手を打っているのです。ところが日本はここでも立ち遅れています。