藤沢市アートスペースで、江の島の岩屋を題材にした映像作品が展示されています。
作品は、写真や映像を中心に活躍する越中正人氏が提供したもので、岩屋に関わる人々のインタビューなどで構成されています。
岩屋には、洞窟があり、江島神社のもと、弁財天をまつる信仰の場でした。江戸時代には、江の島詣でが盛んで、大山詣と共に賑わっていたそうです。
いまは、江の島の観光名所のひとつとして、人気となっている岩屋ですが、わたしの世代にとってはあまりピンと来ないのが正直なところです。
今回の作品は、こうした疑問を解決してくれるにあまり余る内容でした。
岩屋は、1971年に崩落事故が起こり、このため、20年余り閉鎖されていたのです。その間、藤沢市に所有権が移り、1993年に再びオープンとなりました。洞窟の奥には、龍の置物が設置されています。
17分に及ぶ作品には、さまざまな理由から、この場所を訪れ祈る人々が出てきます。
作品の説明文には、「龍神は、そもそも信仰の対象としてまつられたものではないようだ。対象が変わっても、人は願うという行為をやめない」と記されています。
変わる岩屋の歴史と変わらぬ人間の姿が映し出され、とても興味深かったです。