新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言の中、一人の少女のことが頭から離れませんでした。気候変動への対策を訴えた環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんです。
グレタさんのことが頭から離れなかったのは、今回の新型コロナウイルスの感染拡大の原因の一つとして、自然環境の破壊が考えられるからです。
長崎大学の山本太郎教授は、「NHKニュースウオッチ9」で指摘しています。
「生態系への人間の無秩序な進出や地球温暖化による熱帯雨林の縮小、それによる野生動物の生息域の縮小で人間と野生動物の距離が縮まり、ウイルスが人間に感染するようになってきた。
それに人口の増加、都市の出現、人の移動が加わってパンデミックに至った」。その上で、発展を至上とした価値観は変わる時期に来ているのではないかと問いかけています。
わたしも、いまの低成長時代に見合ったまちづくりが大事だと考えています。海と緑など豊かな自然環境に囲まれた都市こそ藤沢市がめざす都市像だと信じています。第二の東京や横浜になる必要はないのです。
しかし藤沢市は、都市部の拡大を優先させ、30%をめざすとした緑地率の目標も放棄しています。二酸化炭素を減らすための交通政策も隣の鎌倉市に水を開けられています。
実は、世界の考え方は変わってきています。去年、130の銀行が、「責任銀行原則(PRB)」と呼ばれる方針に署名しました。
持続可能な開発目標、いわゆるSDGSや温暖化対策への取り組みを定めたパリ協定に沿って投資しようというものです。
これからの企業は、中長期的な温暖化対策に取り組んでいなければ、融資を受けられない事態さえ考えられるのです。
パリ協定の努力目標を達成するためには、2050年頃に二酸化炭素の排出を実質ゼロにする必要があります。
自治体レベルでも「ゼロ」に向けた宣言表明を91の自治体が行なっています。
神奈川県をはじめ、横浜市や鎌倉市、小田原市なども宣言していますが、藤沢市はまだです。
温暖化対策を進めることが感染症対策にもつながります。「ゼロ」をめざす宣言表明を皮切りに重点政策の転換を図るときです。