ニューヨーク市のセントラルパークにオレンジ色のゲートをいくつも並べるなどパブリックアートの旗手として知られたクリスト氏が亡くなりました。
クリスト氏は、世界各地の建造物や自然を巨大な布で被う独特の作風で世界を圧倒しました。日本との関わりも深く、カリフォルニア州と茨城県で同時に巨大な傘を並べるプロジェクトを成功させています。
コロナ危機でいま文化芸術の旗色が悪くなっています。文化芸術は、実生活に必要不可欠なものではないからです。
確かにその通りです。しかし多くの人が外出を控えていた中、これまで以上に本を読み、映画やテレビを見、音楽を聴き、ゲームを楽しんだのではないでしょうか。
人はパンだけでは生きていけないのです。
財源が限られる中、多くの自治体が、文化にかけるカネを減らすでしょう。それこそチャンスです。
ほかの自治体がますます「普通」になるのを尻目に藤沢市が「特別」になるチャンスです。今こそ個性を磨く絶好のチャンスです。
文化政策は、文字通り意図的なものです。例えば、第二次世界大戦後、アメリカは、国策として文化の輸出に励みました。国の価値である「自由」を体現した文化芸術の輸出に勤しみました。日本でジャズが根強い人気を誇るのは、偶然ではありません。
クリスト氏のプロジェクトは一人ではできませんでした。行政との交渉、環境への影響調査、そして資金集め、すべてが作品の一部だと話しています。
クリスト氏には、ぜひ藤沢市を舞台にした作品をお願いしたかったです。江の島だけでなく、江ノ電の駅をあの布で覆って欲しかったです。