新型コロナウイルスの新規感染が急拡大しています。政府は、重症患者など以外は、基本的に自宅療養で対応する考えを明らかにするなど早くも医療体制のひっ迫が懸念されています。
神奈川県のすぐ使える重症患者向け病床は、入院が88人、空床は71床なので、病床利用率は55.35%となっています。準備中の病床を入れた確保病床は199床なので、病床不足に陥った第3波までは行きませんが、余裕はありません。
すぐ使える中等症患者向け病床は、入院が907人、空床は463床なので、病床利用率は66.2%です。一方、自宅療養している方は7千人を超えて、すでに第3波を上回っています。県の一日当たりの新規感染も千人を超え、平均陽性率も20%を超えるなどこれまでにない状況となっています。回復期の患者を受け入れる後方体制も進んでいるみたいですが、エクモだけでなく、スタッフなどの医療資源が追い付かず、病床の増強は難しいようです。
藤沢市の新規感染も急増しています。6月は168人でしたが、7月は613人、そして8月はこの3日間だけで229人となっています。現在、重症患者はいませんが、中等症患者が10人、そしてこれまで亡くなった方は40人に上っています。自宅療養も200人を超えていて、医師会が看護師と連携しながら見守りを行なっています。自宅訪問も入れながら急変に備えています。
藤沢市のワクチン接種ですが、2回目まで終えた方は7万人余りとなっています。重症化しやすいお年寄りの7割が2回の接種を完了したことになります。そういう観点から、新規感染よりも重症患者や病床利用率を重視すべきですが、ここまで新規感染が多くなると当然、中等症や重症患者も増えてきます。
期待のワクチンは、これまで27万回分が来ていますが、8月は7万回分しか予定されていません。ワクチン不足で、予約も難しい状況が続いています。医療体制の増強も厳しい中、結局、新規感染を抑えるしか方法はありません。
ワクチン接種は、医療従事者につづいて高齢者、基礎疾患のある方、高齢者施設の従事者、そして一般の方となっています。しかし最近、子ども関連の感染が目立っています。学校関係者は、湘南工科大学のご厚意で、一部の教職員の接種ができましたが、クラスターの発生を防ぐためにも更なる優先順位をつける必要もあるかと思います。
神奈川県も緊急事態宣言が出されましたが、実効性を伴うのか疑問です。県境をまたぐ移動は控えるように言いますが、説得力がなくなってきています。そういう中、再びロックダウン・都市封鎖に向けた法整備が注目されています。私権を制限するだけに慎重な議論が必要ですが、新たな感染症対策のためにも避けては通れません。医療提供の再構築とともに国会がこの1年半の間にいちばん議論しなければならなかった話だと思っています。
またいま民間のPCR検査場が盛況です。分科会の尾身会長もリバウンドを防ぐ感染予防対策として検査の重要性を挙げていました。広島県は、春に続いてこの夏も無料の検査を実施しています。住民のみならず、県外からの帰省客も対象に空港や駅などでも行なっています。藤沢市も医師会の協力で検査を実施してきましたが、使える手段はすべて使う姿勢が大事だと思います。
自治体も打つ手がなくなっている中、どこまでリスクを許容しながら、感染対策を取っていくか難しい状況です。しかしいまのデルタ株の感染力が強いことを肝に命じた上で、行動する必要があります。そして何よりも自治体が強い意志を示す必要があると思います。藤沢市はようやく今になって、保健所の人員を増やしました。繁華街はもちろん、市役所の玄関さえ、感染予防を訴えるポスターさえありません。藤沢市が本気で感染を減らしたいんだという意志を示さなければ、市民はついていかないと思います。