沖縄が本土に復帰してから今月15日で50年です。沖縄はもともと琉球王国として周辺国との貿易で栄えました。しかし薩摩藩の支配につづいて明治政府下で沖縄県となり、戦後はアメリカ軍の統治下にはいります。
ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、戦火を逃れて市民が祖国を後にしています。理由は違いますが、沖縄も多くの人が海外に移り住んだ歴史があります。1899年から1938年には7万人以上が移住しています。移住先はハワイが最も多く、フィリピンやブラジルと続きます。
沖縄の人は祖先を敬い、代々の土地を大切にするだけに故郷を離れるのは容易なことではなかったはずです。いかに当時の沖縄の生活が貧しかったのかが伺われます。
戦後も移住が増えました。1948年から1993年までブラジルやアルゼンチンへ1万7000人が移住しています。唯一の地上戦が行われた沖縄は荒廃し、生き残る手段として海外に活路を見出しました。
移住先でも苦労は絶えなかったようですが、故郷を救おうと海外移住者が救援物資を送りました。わたしも沖縄で取材したとき初めて知りましたが、ハワイの人たちは550頭もの豚を送ったのです。
現在、世界で暮らす沖縄県系の人・ウチナーンチュは42万人になるそうです。復帰から50年の今年は10月に世界からウチナーンチュが一堂に会する「世界のウチナーンチュ大会」が開かれます。沖縄は戦争にほんろうされてきました。その中で培われた他人を思いやり、助け合う「ユイマール」の精神こそがいまの世界に必要なのだと感じます。