藤沢市道路維持課は、健全度が低く災害のとき危ない街路樹が多いとして、管理計画の中で「適正な管理」を打ち出した上で、「安全で魅力ある、歩きたくなる道路空間をつくる」ことを目標に掲げています。
その上で「将来的な木の形を考慮した植栽」や「道路の幅に見合った植え替え」、「交通安全につながる植え替えや撤去」、「予算規模を考えた管理水準」などを方針としています。
特に「メリハリのある管理」の具体策として、街路樹のある路線を「景観路線」と「再生路線」、「その他」に分けてその特性に合わせた管理に取り組んでいくとしています。
「景観路線」は鉄道の駅周辺および街路樹がつくる景観がすぐれた路線で、せん定など管理水準を高めることで魅力を高めるとしています。道路パトロールを行なって管理に努め、年に2回のせん定を行ないます。また必要に応じて、肥料を入れたり、土壌改良も行なうとしています。
対象になるのは、▲藤沢駅周辺、▲辻堂駅周辺、▲湘南台駅周辺、▲善行駅周辺、▲六会日大前駅周辺、▲長後駅周辺、それに▲辻堂駅遠藤線の一部です。
これに対して「再生路線」は街路樹の老化などのため課題がある路線です。「景観路線」と同じく、土壌の改良や根を止めるシートの設置で歩行しやすくする「改善」のほか、必要性を確認した上で大きくなった木や年老いた木を植え替える「更新」を行なっていくとしています。ただ「再生路線」については道路交通機能を確保するため、街路樹を伐採する「撤去」も検討するとしています。
対象になるのは大庭と明治地区にある路線で、▲大庭丸山線、▲滝ノ沢堤線、▲湘南ライフタウン内・街区道路、▲湘南ライフタウン内・歩行者専用道、▲鵠沼海岸引地線の一部、それに▲高山羽鳥線の一部です。
わたしは少しでもみどりを増やすことでまちの価値を高めたいと考えています。そこで重要なのは誰がみどりを保つ主体になるのかということです。民間では住宅が主体になりますが、いま土地の細分化が進んでなかなか良好なみどりが保てなくなっています。
そうすると残るは行政ということになります。行政の中でみどりを担うのは、街路樹と公園、それに市役所や学校など公共施設ということになります。街路樹はみどりを支える大きな存在なのです。ところが街路樹を担うのは道路維持課です。藤沢市が定める緑の基本計画では、「道路の機能に応じた緑化に努める」としており、道路維持課も尊重している訳ですが、あくまで使命は道路の維持です。
去年、神戸新聞に街路樹は要らないのではないかという衝撃的な投稿がありました。しかしよく読んでみると投稿者は、すでにみどりに囲まれた地域に街路樹は必要ないのではないかと提起していたのです。わたしもこの考え方に近いです。そういう意味で今回、藤沢市が「景観道路」と「再生道路」に区別して対応するのはいいやり方だと思います。
問題は「景観道路」に本当に力を注いでくれるのかという点です。わたしは人の目に触れやすい中心街こそみどりを増やすべきだと思っています。しかし、中心街だからこそ利便性や快適性を求めて、みどりを邪険に思う方もいると思います。道路維持課が今回のメリハリのある管理をどのように実践していくのか注意して見ていきたいです。