9月の一般質問では都市部や住宅街など人々が行き交う場所の「見える」みどりを増やすよう提案しました。
東京の神宮外苑の再開発では900本の樹木が伐採される計画が判明し、住民らが反対する声を挙げています。なぜ900本の木を切ることがこんなに大事になったのでしょうか。それは都会のみどりが貴重だからにほかなりません。
「見せる」みどりを増やせ
藤沢市内のみどりは、ちょうど建設が抑制されている市街化調整区域に集中しています。郊外に多く、都市部や住宅街に少ないのです。わたしは藤沢の価値は、都会と自然が調和している点にあると考えています。余っている土地が少ない都市部や住宅街にいかに「見えるみどり」を増やしていくことが藤沢の価値向上につながります。
これについて藤沢市は、「まちの景観形成に寄与する重要な要素だと認識している。都市公園や街路樹、生産緑地や保存樹木など市街地における緑の確保に努めている。しかし市街地は売買や相続で微減傾向になっている」と答えました。
公園のみどりを増やせ
みどりを守る主体は民間と行政です。行政にとってみどりを守る最大の方法は、公園のみどりを増やすことです。公園の数は増えていますが、公園の設置には配置基準があります。基準は大事ですが、住宅地での公園を少しでも増やすには多少バランスが崩れても柔軟に対応していくよう要望しました。
意欲がわく緑地率の目標を
みどりがどれだけあるかを示すのが緑地率です。緑地率については目標を30%にしていますが、現在25%にとどまっています。「見えるみどり」を増やすには、都市部や住宅街での緑地率を引き上げることが重要です。このため13地区別あるいは、商業地域や住居専用地域など用途別の緑地率の目標を定めた方が、目標も身近になり、取り組む意欲も湧くのではないかと質問しました。
これについて藤沢市は、「市全体としては30%、そのうち市街化地域については18%を最終目標に中間目標も定めている。引地川や境川、それに伊勢山や城南を基軸に市全体で均衡がとれた配置を図っている。そのため区割りごとではなく今の計画通りの目標で取り組んでいく」としてわたしの提案を否定しました。
風致地区のみどりを守れ
藤沢市はみどり豊かな景観を守るため、住宅街に法律による風致地区を設けて、緑地率については20%以上になるよう求めています。しかし鵠沼地区の住民からはみどりが減っているようだという指摘を受けます。
これについて藤沢市は「鵠沼の緑地は、住宅の分譲や駐車場化で減少傾向にある。しかし緑地率20%については分譲が行われても宅地内の緑は、将来的にも20%が確保されるものと考えている。地区全体の樹木の本数は把握していないが、新築に当たっては完了時に樹木の全数検査を行なう他、必要に応じてパトロールによる現場確認を行なうなど確保に努めている」と答えました。
これに対してわたしは、駐車場をつくる場合は申し入れは必要なく、地区全体としては20%が守られない恐れがある、またデータの収集管理も不十分で、法律の信頼性に関わると指摘しました。
住民の取り組みを支える条例を
鵠沼地区では良好な住環境を求めてみどりの保全などを定めた独自ルール「住民協定」を定める取り組みが盛んです。これまで5つの自治会が協定を定めています。協定を定めるため、住民との意見交換やアンケートを重ねた上で、賛否の投票を行ないます。最低敷地面積など利害にかかわるだけに反対もありますが、多くが賛成して運用に至っています。
業者の多くは協定に基づいて事前に自治会と話し合い、ルールを守るということですが、強制力がないため守らない例もあるなどトラブルもあります。このため使いやすい条例による法的裏付けが必要だと痛感しています。
鎌倉市では条例で、「住民協定」のように景観を守るため、住民自らが計画をつくり、投票を経て提案、そして運用に至っています。立ち上げから法的に保障し、住民を支援しており、これまで15の団体が計画を認められ、運用しています。条例の利用が活発で藤沢市とは対照的です。
これについて藤沢市は「住民協定は任意性が高く、地域の状況に応じた取り組みとして景観形成に資する意義深い活動だと認識している。このような活動を法的に保障し、支援するためには地権者の認知度や同意率など一定の要件を設定する必要があるが、その要件自体が自由な活動のハードルになり、意欲的な取り組みを阻害する懸念もある。一律的な制限や支援を位置付ける条例化ではなく、任意な活動を尊重する中で行政としても地域住民への周知や助言など必要な支援に取り組んでいく」として条例化に否定的な考えを示しました。