元藤沢市議会議員 清水竜太郎 オフィシャルサイト

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東海道線事故 「災害」対応すべきだった

藤沢駅と大船駅のJR東海道線で列車が電柱とぶつかり、1時間以上、乗客が閉じ込められる事故が起こりました。この事故で横須賀線なども運転見合わせとなり、およそ15万人に影響が出ました。乗客ら4人がけがをしたほか、9人が体調不良を訴えたということです。
異例な事故であるばかりでなく、当日は茅ケ崎市や小田原市でも花火大会が開かれ、大勢の見物客が鉄道を利用していたという特別な事情がありました。加えて深夜とはいえ、連日の猛暑です。

東海道線は東京駅から熱海駅まで運転が見合わせとなりましたが、事故にあった列車だけでなく、その前後の列車もしばらく列車の中に待つことになります。各駅で大量の帰宅困難者が発生し、混乱することは予想できたはずです。

帰宅困難者であふれる藤沢駅

わたしは零時を過ぎてから事故を知りましたが、「これは大変なことになる」と直感しました。災害ではありませんが、災害に等しい事故への対応が必要になると思い、藤沢駅に駆けつけました。案の定、駅は混雑していて乗客とみられる人たちが右往左往しています。わたしが駆けつけた時は、JRの担当者が、拡声器をもって私鉄などへの振り替え案内を行なっていました。担当者はまた、「藤沢市役所が開放されているので休憩できる」とも話していました。
駅の周辺はさらに混雑が広がっていました。疲れ果てて座り込んでいる方々がいました。そして北口も南口もタクシー乗り場に長い列ができていました。これまで見たこともない長蛇の列です。

藤沢市役所は開放されていた

タクシーを待つ長蛇の列をかいくぐって市役所を訪れました。一階のロビーが開いています。イスにおよそ40人が座って休憩していました。警備員の方に聞くと藤沢駅から開けてくれないか申し入れがあった、目途がつくまで開放する、もし人が溢れたら5階や9階のスペースも開放すると話しました。

こういう非常事態に市役所を開放して、帰宅困難者を受け入れるのは素晴らしい対応だと感じました。しかし何か様子が違います。藤沢市の職員らしき人を一人も見かけません。
わたしもかつて帰宅困難者だった

12年前の東日本大震災、わたし自身が帰宅困難者になった経験があります。都内で仕事を終えてから藤沢に帰ろうとしました。一刻も早く帰って、家族を守りたいという強烈な気持ちに突き動かされました。わたしと同じ思いなのか、歩いて帰宅しようという人々で道はいっぱいでした。寒い中、みな声も出さず、ただただ歩いています。

道沿いには自治体が運営する休憩所があって、身体を休めることができました。どれだけ有難かったか分かりません。多摩川を越えるころは人数も半分以下となっていました。横浜市に入ったころは「仲間」は数人となっていました。午前3時、さすがに疲れて横浜駅の地下街で休んで始発列車を待つことにしました。周りでは防寒用品が配られていて、わたしも大勢に交じって雑魚寝しました。

ツイッターでの呼びかけ

再び藤沢駅に戻りましたが、午前1時を過ぎていて、すでに担当者はいません。それでも駅には次々と人がやってきます。気温も高い中、タクシーの列も一向に途絶える気配もありません。せっかく市役所を開放しているのに、それを帰宅困難者に知らせる人が誰もいないのです。お知らせの張り紙さえありません。

藤沢駅で係員にそのことを伝え、改札口に張り紙をするようお願いしましたが、一人で乗客に対応していて忙しそうです。北口のサンパール広場では、徹夜を決め込んだのか寝転んでいる方々が多くいて、市役所で休むよう声を掛けていきました。

しかし声掛けも限界があるので、ツイッターで「藤沢市役所が開放されているのに知られていないので拡散してほしい」と訴えました。すると見ず知らずの人たちが答えてくれました。たくさんの善意の気持ちに心が温かくなりました。午前4時過ぎに「東海道線が午前8時ころに運転再開となる」と発表されました。

今回は「災害」対応すべきケース

藤沢市がJRからの要望を受けて市役所を休憩所として開放したのは英断だったと思います。しかし厳しく言えば「開放しただけ」で、帰宅困難者に利用してもらおうと積極的に動いたわけではありません。
帰宅困難者への対策は、防災安全部が取り仕切っていて、災害が発生したとき、藤沢駅周辺では▲市役所をはじめ、▲市民会館、▲秩父宮体育館、▲藤沢公民館、▲神奈川県藤沢合同庁舎を使うことになっています。このほか民間の施設としては、藤沢商工会館とスポーツクラブNAS藤沢と協定しています。

わたしの違和感は当たっていました。藤沢市に聞きますと今回、市役所を開放すると許可したのは建物を管理している財務部の管財課であって、災害対応を行なう防災安全部ではなかったのです。だからこそ担当の職員が出てきて、帰宅困難者の誘導を行なうこともなく、飲食物やブランケットなど備蓄用品も提供されなかったのです。
これについて藤沢市では、事故によるけが人などが少なかった上、被害が拡大する二次的な災害にも当てはまらなかったためだと説明しています。つまり災害とまではいかないからという訳ですが、わたしは今回は「災害」に準じる行動が必要だったと考えます。

藤沢市こそ積極的に動くべきだった

事故が起きた場所は、鎌倉市内で、乗客は歩いて大船駅に誘導されました。当日の大船駅は藤沢駅以上の混雑ぶりで、帰宅困難者にあふれていたようです。事故が起きたのは確かに鎌倉市ですが、実はほぼ藤沢市なのに気づきます。市役所の本庁舎の位置を考えれば、鎌倉市より藤沢市の方がずっと近く、対応しやすいことも分かります。

もう一つ、重要なことがあります。藤沢駅と大船駅の間と言えば、神奈川県と鎌倉市と藤沢市が負担してJRが設置する「村岡新駅」が計画されているところです。新駅の設置については必要性が明確ではないとして疑問視する意見もあります。鈴木市長が本当に事業を進めたいなら、もっと積極的に動くべきだったと思いますし、もっとここでの事故に敏感であるべきだったと思います。鎌倉市と連携しつつ、小型のバスを借り上げて藤沢市役所に往復輸送するくらいの気構えがあっても良かったのではないでしょうか。

藤沢市は、今回のような市役所開放など広報面の周知を徹底したいほか、JRとの連携について改善していきたいと話しています。今回の事故では事故原因ばかりが注目されていますが、災害に準ずる帰宅困難者対策について改めて検証すべきだと思います。

帰宅困難者

帰宅困難

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