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情報公開請求で藤沢市の校則が明らかに

藤沢市の市立中学校では、文部科学省がホームページで公開するよう求めている校則・学校での決まりを公開しているのが、御所見中学校だけであることは以前、お伝えしました。

校則には、その学校がめざしている学校像やその学校の雰囲気が反映されていると思います。昨今、不登校が増えていますが、理由の一つにこうした「雰囲気」も無関係ではないのではないかと想像します。

さらに最も大事なのが情報公開の観点です。学校は小さな集団であり、場合によっては閉鎖的になりがちです。地域とのかかわりを強める取り組みも進んでいますが、たくさんの目で見れるよう外部へ情報公開する姿勢が何よりも学校をオープンにします。文部科学省の狙いもここにあるにもかかわらず、校則の公開が全くと言っていいほど進んでいないのは由々しきことだと思います。

そこで藤沢市教育委員会に中学校の校則を見せてほしいと申し入れたところ、それならば情報公開請求の手続きを踏んでもらいたいと即答されました。話を聞いてみると校則について考える担当者会議に参加はしているものの、すべての校則を把握しているわけではないということでした。7月5日付で請求を行ない、およそ1か月後、請求した18校の資料を受け取ることができました。

校則が細かい学校と簡潔な学校

校則を分析しますと校則が細かくて資料が分厚い学校と校則が簡潔で資料が薄い学校に分かれることが判ります。細かい学校は▲六会中学校、▲長後中学校、▲善行中学校、▲大庭中学校です。

逆に簡潔な学校は▲片瀬中学校、▲鵠沼中学校、▲秋葉台中学校、▲湘南台中学校です。明治中学校は生徒手帳での決まりしかありません。

校則が細かいことは一見、厳しいということになりますが、校則が簡潔であっても、文字として書かれていないだけで実際は厳しかったりすることもあり得るので、どちらが適切かという訳ではありませんが、その学校の雰囲気は伝わってきます。

「頭髪」と「靴下」の禁止事項が柱

様々な校則の内容のうち、ほとんどの学校で規定しているのが「頭髪」と「靴下」についてです。ほとんどの学校で私服ではなく、制服を着ることになっている中、違いを出せるとしたら、「頭髪」と「靴下」、それに女子ならば「スカートの長さ」くらいになります。19の学校のうち、15校が「頭髪」に関する具体的な規定を設けています。だいたいが髪の脱色・染色やパーマ、過度な刈り込みを禁じています。また整髪料を使うことや化粧、アクセサリー類も禁じている例が多くなっています。髪を結ぶゴムの色まで規定している学校も多いです。中には「著しい異装・化粧・染髪・脱色など周囲に迷惑を及ぼす場合は家庭に帰って直してから登校する」と強い口調の学校もあります。

これに対して大清水中学校は「すっきり、さっぱり、きれいをこころえましょう」となっています。また藤が岡中学校は「自然な髪形とする。気になる髪型の場合、学年生担と相談する」としています。鵠沼中学校は「学校生活にふさわしいものか考え、活動の目的に適しているか、清潔であるか、不快感を与えないか守ろう」としているほか、湘南台中学校は直接的な言及がありません。

「靴下」も18校が規定を設けています。だいたいが色に関するもので、白・黒・紺・茶・グレーなど地味な色にするよう求めています。中には、靴下の長さを図説を用いて解説している例も見られます。一方、秋葉台中学校だけ直接的な規定がありません。

「肌着の色」や「スカートの長さ」の規定も

肌着や下着の色に関しては全国的に問題になりました。藤沢市では、ワイシャツやブラウスの下に着るインナー、つまり「肌着」の色まで定めている学校が19校中、17校もありました。
鵠沼と藤が岡中学校には規定がありません。多くが黒や紺、灰色、白色などとしていて、派手な色や柄の入ったものを禁じています。

女子の「スカート」の長さを規定している学校も多く、「膝にかかる程度」などとなっています。16校が規定しており、中には「ミニスカートはいけない」「短くしてはいけない」というやわらかい表現もあります。規定がないのは明治、村岡、湘南台中学校です。

数は少ないですが、「着替え」や「トイレ」に関する規定を設けている学校もあります。驚くのはいまだに着替えは、男子は教室で、女子は専用の更衣室のみならず、多目的教室などを使っている例もあることです。いまの時代、更衣室はちゃんと整備すべきだと思います。「トイレ」の使い方については、「トイレットペーパーを無駄遣いしない」「着替えでは使わない」とした例もあります。

「かかとを踏むな」や「整列の仕方」も

ほとんどの学校が「持ち物」と「水筒の中身」について規定を設けています。禁じられている「持ち物」は、具体的に携帯電話やスマートフォン、音楽プレイヤー、お菓子、ゲーム機など不必要なものとなっています。

携帯電話やスマートフォンは、理由があったり、やむなく持ち込んだ場合は、教師に預けるよう求めている学校が12校に上ります。禁止しているのは5校です。一定のルールは必要ですが、緊急の連絡や安全の観点もありますので、もう少し緩和してもいいのではないかと思います。
必要のない現金も同じような形で、持ってきた場合は教師に預けるよう求めています。腕時計など時計類を禁じる学校もあります。

ほとんどの学校で「水筒の中身」を水やお茶、そしてスポーツドリンクに限っているのも特徴です。中にはペットボトルでの飲み物を禁じる学校もあります。登校するときの昼食以外の買い食いも禁止の学校も多いです。

少数ですが、「靴は運動靴でなければならない」「上履きのかかとは踏んではいけない」「貸し借りをしてはいけない」とする学校もあります。さらに「集会での整列の仕方」や「掃除へのとりくみ」に関する規定も見られます。

興味深い例として滝の沢中学校は、「いじめやいやがらせ、おどしを受けたときは教師に必ず連絡する」「けんか、いじめ、けがなどの場面に出会ったらすぐに教師に知らせる」としています。またSNSの使い方について注意を呼びかけている学校もあります。

〝学校は「ひとつの社会」〟

校則の中に「あいさつ」に関する規定がある学校は14校に上ります。その中のいくつかの学校には「学校はひとつの社会」であるという考え方が明示されています。

▲「学校は社会」「だれもが気持ち良く生活できるように決まりがあり、守らなければならない」「授業はあいさつで始まり、あいさつで終わる。昼食は全員が、いただきますで食べ始め、ごちそうさまでしたで終わる」「大きな声で自分からあいさつ、返事をしよう」

▲「社会には決められたルールと社会通念上のルールがあり、集団のために存在している部分も多々ある」「大人になってからルールを守れないと大変苦労する。中学生のうちにルールを守る素地をつくり、集団の中で生活していく習慣を身に着けよう」

▲「学校は一つの社会だ」「見た目も考え方も性格も違う人と共同生活する」「社会にはみんなが気持ちよく生活できるよう決まりがある」「決まりは守らなければならない」「自分から進んで大きな声であいさつし、呼ばれたら、はいと返事する」「すべての活動はあいさつで始まり、あいさつで終わる」

▲「気持ちの良い学校生活を送るため、あいさつを心掛けましょう。友達や先生などに大きな声で自分から積極的にあいさつしましょう」「学校は社会生活を学ぶところということをしっかり認識し、社会に出ても通用する人になることができるよう学んでください」
▲「学校はひとつの社会だ」「社会には決まりがあり、決まりが守られない社会は過ごしにくい」「あいさつは生活の基本であり、おはようございます、こんにちわ、さようならのあいさつをしよう」

大清水中学校のケース

制服がないことで知られる大清水中学校ですが、あいさつについては、授業の始まりと終わりにはきちんとあいさつしましょうと書いているほか、「あいさつは学校生活を明るくし、お互いの心をなごませます」と指摘しています。

「心得」の中で大清水中学校は、「自由な学校をめざしている」としつつ、「自由とは単にルールが少ないという意味ではない」と指摘した上で「一人一人が自分の責任を果たすこと」を求めています。
そして「心得」が最小限である点について、「自分で判断する力、自主的に行動できる力を身につけてほしい」からだと説明しています。

藤沢市教育委員会は、教育目標として「未来を切り開いていくことができる生きる力にあふれた子ども」「子どもたちに学力の基礎の定着を図り、安心して共に学び、共に育つ学校」をめざすとしています。

大清水中学校の例は、学校はひとつの社会だと強調するのとは違い、自由と責任について問いかけている点が印象的です。またいわゆる校則が少ない理由が、教育委員会が掲げる目標にも合致している点も納得がいきます。

藤沢市の市立中学校の校則が果たして21世紀にふさわしいものなのか、ほんとうに生徒の意見が反映されているのか疑問に感じます。教育委員会は各学校に任せていますが、校則の公開をはじめ、もっと積極的に話し合うべきだと思います。

学校則

 

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