藤沢市は、慶応大学がある遠藤地区で発生する浸水被害を防止するため、新たに貯水池を設置していく基本計画を明らかにしました。浸水が起こるのは、慶応大学と三大谷戸の一つである遠藤笹窪緑地に接する道路で、郵便局の前あたりです。おととしの台風による豪雨で、水の深さが96センチまで達するなど大きな被害を記録しました。
これは近くを流れる小出川の川幅が狭いうえ、雨水管が不足しているためです。貯水池も12か所ありますが、足りない状況です。
このため藤沢市では、遠藤笹窪緑地を利用して、自然に適した貯水池を作りたい考えです。谷間の底に当たる場所を貯水池とするもので、4200立方メートルの貯留が可能だとしています。ここは市の持つ土地で、いまは埋め立てられているので、掘り返す形になります。自然への影響については、環境保護団体との話し合いで、生態学上、問題はないことを確認したということです。事業費は9000万円で、来年度から3年かけて完成させたいとしています。そのほか、新たな貯水池の設置や雨水管の整備などで、総事業費は46億円になる見通しです。
市当局が力を入れるもう一つの理由は、いずみ野線の延伸によって、新たな街を作る計画があるからです。浸水対策が急務なのは当然ですが、財政不足が指摘される中、街を郊外に広げていく発想は、選択と集中に基づくコンパクトシティの考えに逆行するとしか言えません。