藤沢の新たな名産として人気を博している「鵠沼魚醤」。打戻にある工場を見学しました。魚醤とは魚を塩漬けにして、熟成させた液体状の調味料で、醤油が広まる前まで、主要な調味料でした。かつてはローマ帝国でも使われていたということです。
鵠沼魚醤は、片瀬漁港で取れたいわしを用いていて、春先に仕込んで、一年間寝かせておきます。内臓に含まれた成分が染み出して、うまみを出します。熟成したら、液体をこして、瓶詰めにします。水揚げ直後に漬けることで、魚醤特有の臭みがない点が特徴で、市内のデパートなどで販売されています。
この工場ではまた、生ハムの製造も行なっています。市内の養豚場で育った豚のもも肉を冬場に塩漬けにして、保存しておきます。およそ一年半、寝かせれば完成で、多くのレストランに出荷されています。
魚醤も、生ハムも、藤沢のいわしや養豚を使うことにこだわっており、塩以外、添加物などは一切使っていません。完成まで手間がかかることもあって、全国的にもこうした製造法を使った魚醤や生ハムづくりは珍しく、貴重な存在となっています。高橋代表は、「これからは質が問われる時代だ。本物を作っていくことが地域の強みになる」と話しています。